観光サイクリングin伊勢原の下見に行ってきました。
集合は伊勢原駅北口近くの駐車場を予定しています。伊勢原の地名の由来は江戸時代初期(1620)に伊勢国(三重県)の人々がこの地に住み着いたことからと言われています。伊勢原駅と鶴巻温泉駅の間に小田急線の車両基地を作る予定だそうで、2033年以降には車両基地のある付近に新駅も設置するかもとのこと。伊勢原駅と鶴巻温泉駅間の景観もだいぶ変わることでしょう。
駅前には小田急が設置したと言われる大鳥居。「大山詣り」気分が盛り上がります。江戸の人口が100万人の時代に年間20万人もの参拝者が訪れたと言われています。
串橋中世石塔群(伝)善波太郎の墓。
善波氏は平安末期から戦国期までこの地を支配した豪族。善波峠付近の三嶋神社を居館としたようです。平安時代後期に活躍した善波太郎重氏が最も有名で弓の名手だったそう。石塔群は鎌倉時代〜戦国時代のもの。ただ石塔は無銘のため善波氏との関係を特定することはできません。
相模国三之宮である比々多神社へ。
創建は神武天皇6年(紀元前655)と相模国最古級の歴史を誇ります。5000年以上と言われる海老名の有鹿神社には及びませんが、延長5年(927)に編纂された延喜式神名帳にも記載されており、相模十三社のひとつとしても数えられます。
本殿の裏手にはストーンサークル。縄文時代中期のものとされる遺跡が東名高速道路敷地内で発掘され、境内に移設復元されたそうです。
三之宮郷土博物館は開館日は少ないようですが、比々多神社周辺で発掘された縄文時代〜古墳時代の出土物を中心に保存展示しています。先々代の永井健之助社司が考古学者の坪井正五郎氏(コロポックル説を唱えた方)と親交があり共に調査収集を行ったそうで、先代の永井参治宮司が収集したものが散逸してしまうことを危惧し昭和28年に宝物殿として建設し、三之宮郷土博物館として現在も不定期ですが公開されています。
比々多神社から鈴川沿いにヒルクライム。大山ケーブル駅付近まで登ります。
愛宕滝。江戸時代に大山詣りをした方々が、大山登山をする前に滝に打たれ身を清めました。
良弁滝も同様に滝垢離を行った場所。
良弁(良辨)は奈良時代の華厳宗の僧で東大寺を開山したことで有名です。伊勢原の大山寺も良弁によって755年に開山されました。大山の信仰の変遷も興味深く、大山の山頂付近から縄文時代の土器片が発掘されている歴史から始まり、奈良時代以前は阿夫利神社として、奈良時代以降は大山寺として修験色が強くなります。平安時代末期には源頼朝が太刀を奉納して戦勝を祈願し成就したことから「納め太刀」の風習が始まります。江戸時代に入ると徳川家康は大山の山伏を恐れて下山を命じます。下山した山伏の一部の方々が大山を先導する御師として活躍し(宿坊も営む)現在に至ります。明治時代の神仏分離により大山寺(不動堂)は破却され、大山寺が建っていた場所には大山阿夫利神社下社が造られ、大山寺は標高を少し下げた場所に造られました。大山寺という旧社号が復活したのは大正4年(1915)のことになります。以上、簡単に大山の信仰についてまとめました。
茶湯寺の百一日参り。
亡くなられた方の霊は49日まで家の棟の下にいて50日目から黄泉路に出発します。そして101日目に極楽の門に至り佛様に成られます。故人の家族は無事に成彿したお礼詣りに茶湯寺へ参拝します。それを知っている佛様は茶湯寺の石段で家族の来山を待っていると言われ、不思議なことに供養に行くと故人に似た人に会えると伝えられています。
本尊は釈迦涅槃像。
開山900年の浄土宗のお寺です。
昼食は夢心亭さんを予定。
ランチタイムはコース料理を除き予約を受け付けていなく、入れなかったら別の昼食場所になる場合もあることをご了承ください。
軍鶏チャーシューと湯葉のつけ麺。
阿夫利軍鶏とおおやま湯葉ラーメン。
どちらも抜群のお味だったので調べてみたら2代目は葉山日陰茶屋で修行されていました。通りで美味しい訳です。
「大山まん志゛う本舗 良辨」さんは江戸時代から150年以上続く老舗。(1866年創業)
大山まん志゛うは沖縄の黒糖を使用したこしあん饅頭。
断面。
産業能率大学の校門の前にある看板。
この場所に上杉定正(1443~1494)の「糟谷の館」の址と伝えられていると記載されています。扇谷上杉家の家宰であった太田道灌が定正によって暗殺された場所にもなります。
産業能率大学の近くの上粕屋神社の参道脇には七人塚。
太田道灌が襲われた時に討死した家臣7名の墓になります。
七人塚の近くには洞昌院の胴塚があります。
太田道灌の墓地は、神奈川県伊勢原市に首塚と胴塚、埼玉県越生町の龍穏寺に分骨した墓、神奈川県鎌倉市に首塚と言われる供養塔、の4箇所が存在します。
文化財の宝庫である日向薬師へ。奈良時代の716年に行基により開山。
日本三大薬師のひとつに数えられ、他には愛知県新城市の鳳来寺、高知県長岡郡の豊楽寺があります。
参道を登ると仁王門の金剛力士像。
江戸時代末の1833年に鎌倉仏師の後藤真慶によって造像。
本堂へは雰囲気のある山道を登ります。
本堂(薬師堂)は江戸時代に再建改修された茅葺き屋根が見事な建物です。国指定重要文化財に指定されている仏像などが多数あり、江戸時代までは修験場の拠点でしたので「神木のぼり」という奇祭も昭和49年に復活、とても見所多い日向薬師をじっくりと参拝しましょう。
下山したらおやつタイム。パスティッチェリア ラッテさんへ。
店舗のあるポポロ広場はイタリアです。イタリアのプーリア州アルベロベッロという街をイメージしたそうです。隣にはナポリピッツァのお店も。
オススメはフォンダン・オ・ペカン。グルテンフリーなチョコ菓子です。
高部屋神社も平安時代に編纂された延喜式神名帳(927年)に記載されている歴史ある神社です。社伝によると比々多神社と同様に紀元前660年頃に開創とも言われています。拝殿は慶応元年(1865)に再建されたもの。裏にある本殿は昭和4年(1929)に再建された比較的新しいものになりますが、主要な木材は正保4年(1647)に建てられた本殿のものを再利用しており、本殿も拝殿も国の登録有形文化財に登録されています。拝殿の社号額は山岡鉄舟の筆によるものです。
この銅鐘も1386年に平秀憲が寄進したものだそうです。
大慈寺には太田道灌の墓(首塚)。
最後は伊勢原で人気のパン屋さん「ムール・ア・ラ・ムール」でお土産を。
石臼挽き自社製粉の湘南小麦(合わせる小麦も国産小麦)を使用したこだわりのパン。美味しいですよ〜!
坂道多め、昼食時間長め、文化財多め、なので少し時間がかかりそうな伊勢原サイクリングツアー。伊勢原でお待ちしておりま〜す。